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『コンビニ人間』は「普通」という気持ち悪さを教えてくれる

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僕にとって119冊目となる小説『コンビニ人間』の感想となります。

 

『コンビニ人間』のあらすじ…

ヒロイン古倉恵子は三十半ばだが、正規の就職をせずに大学時代に始めたコンビニのアルバイトを続けている。

子供の頃から変わり者で、人間関係は希薄、恋愛経験も皆無。という半生を過ごした古倉。

大学時代、コンビニで仕事を始めたことをきっかけに「周囲の人たちの真似」をしたり、妹の助言を聞くことで、普通の人らしく振る舞う方法をようやく身につけた。という経験がある。

古倉はそのような経験を、これまで世間一般の人間の規格から外れていた自分が、初めて人間として誕生した瞬間と位置づけていた。 以来古倉は私生活でもそのほとんどを「コンビニでの仕事を円滑に行うため」という基準に従って過ごしつつ、なんとか常人を演じ続けてきた。 しかし、自身の加齢、及びそれによる新たな世代の人間との干渉が増えたことにより、 そのような生き方は徐々に限界に達しつつあった。

そんな時、古倉はかつての元バイト仲間の白羽という男と再会する。 白羽は、就労の動機を婚活だとうそぶき、常連の女性客につきまとい、挙げ句行為を働いて店を解雇された過去を持っている。

ひょんなことから白羽と奇妙な同居生活を始めることになった古倉は、 その状況を周囲の者達に「同棲」と勝手に解釈され、囃し立てられ、若干の戸惑いを感じるも、 冷静にそんな彼らを観察し、白羽との関係を「便利なもの」と判断する。

やがて古倉は白羽の要求によりコンビニを辞めて就活を始めることになる。 しかし、面接に向かう途中でたまたま立ち寄ったコンビニで、自身の経験から図らずも店の窮地を救った彼女は、コンビニ店員こそが自分の唯一の生きる道であることを強く再認識し、就職との天秤にかけていた、白羽との関係を解消してコンビニに復職することを心に誓うのだった。

コンビニ人間 - Wikipedia

 本記事の内容

・「普通」という気持ち悪さについて

・まさに「コンビニ人間」であった

「普通」という気持ち悪さについて

本作の主人公である吉倉は18年間コンビニ店員として働いているのですが、まわりの人間はみんな「いつになったら一般企業に就職してくれるのか」とか「いつになったら結婚して子どもを持つようになるのだろう」とかを気にしているのです。

 

それが社会人としての「普通」であり、18年間もコンビニのアルバイトを続けるのは「異常」と認識しているのです。

しかし、吉倉にとってはコンビニ店員がとても「やりやすい仕事」であり、他の仕事をやっているところは想像できないのです。

 

あるときは2週間で14回も「なんでコンビニ店員?」と聞かれてるし、12回も「なんで結婚しないの?」と聞かれる始末。

こういうのは小説だけの世界ではなく、実際こういうことは起こっていますよね。

 

僕は今26歳ですが、「結婚はいつするのか」はたくさん聞かれます。

そんなの相手があることだし、結婚というのが一つの正解ではないことは当たり前の世の中になりつつあるのに。

 

途中で白羽という男が出てくるのですが、とにかく他責にする人間でどうしようもない感じなのですが、吉倉はこの男と同棲するようになります。

理由は好意でもなんでもなく、同棲しているとまわりが勝手にストーリーをつくって盛り上がってくれるからです。

*白羽という男の生き方も肯定しないと同調圧力与える側の人間になりますね…

 

「やっと治ってくれた」などといって彼ら彼女らの思う「普通」になってくれたことに大きな安心感をいだているのです。

ここらへんで気持ち悪さはピークに達します。

 

誰が決めたのかもわからない「普通」という基準に沿って生きていけない人は「排除」されてしまう今の日本社会をこれほどまでに描写している作品が他にあるのでしょうか。

 

僕自身もフリーランスになると宣言したら、「そんな得たいの知れないものによくなれるね」とか「本当にやっていけるの?」とか見せかけの心配をされたり、一般企業にはいった方が安心という根拠のない謎の常識で押しつぶそうとしてくる人が何人もいます。

 

 いくらフリーランスを支える仕組みは整いつつあるし、今増えているという説明をしても「意味わからん」という顔をされ、挙句の果てには「まぁ結果出してよ」と無関係の人間から言われます。

 

僕自身は言われた通り「結果を出してやろう」とは思っていますが、根底には「そんな意味わからんことは失敗して痛い目をみればいいんだ」という考えがありますよね。

 

このように無関係の人間が勝手に作り上げた「普通」を押し付けて、それに従わせようとする風潮は気持ち悪いと思っています。

まさに「コンビニ人間」であった

しかし、あらすじに書いてある通り、白羽の要求でコンビニ店員を辞めることとなります。

コンビニのために生活が成り立っていたので、規則正しい生活は崩れていきます。

 

のちほど、あることがきっかけでコンビニ店員が天職であることを再認識するのですが、天職というものは誰にでもあり、それが例えアルバイトでもいいのです。

 

同調圧力に屈すると、自分が苦手で嫌なことをする羽目になります。

「自分はこのライフスタイルが向いている!」と思えば、それをやればいいのです。

 

想像以上に同調圧力に負けないというのは難しいことなのですが、ありもしない「普通」に屈した生活を送ること方が長い目でみると苦しいですよ。