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日本で1番「経験豊富」な男です

『卒業』はあらゆる形で「卒業」を描く作品

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僕にとって128冊目となる『卒業』の感想になります。

 

『卒業』のあらすじ…

「わたしの父親ってどんなひとだったんですか」ある日突然、十四年前に自ら命を絶った親友の娘が僕を訪ねてきた。中学生の彼女もまた、生と死を巡る深刻な悩みを抱えていた。僕は彼女を死から引き離そうと、亡き親友との青春時代の思い出を語り始めたのだが―。悲しみを乗り越え、新たな旅立ちを迎えるために、それぞれの「卒業」を経験する家族を描いた四編。著者の新たなる原点。

「BOOK」データベースより

 本記事の内容

・4つのストーリーでそれぞれの卒業を描く

 4つのストーリーでそれぞれの卒業を描く

重松清さんの作品を読むのは初めてでした。

ずっと読みたいなとは思っていたのですが、自分の中でタイミングがあわずずっと読むことができていなかったのです。

 

本作品を読んで、僕は泣いてしまいましたね。本当に感動的でほっこりする作品なのです。

本作品は4つの短編で色々な形の卒業を描いています。

 

僕は「まゆみのマーチ」「追伸」というタイトルの2つの短編が好きです。

 

「まゆみのマーチ」

ある女の子が学校でどうしても鼻歌を歌ってしまうくせがあり、それがどんな場所、場面でもそのくせが出てしまうのです(例えば全校集会でも)。

 

そのせいで周りの人たちから変な目でみられてしまうし「他の子の勉強の邪魔になる」というクレームも来てしまいます。

たしかに授業中に鼻歌を歌われたら、ちょっと集中力をもってかれてしまいますよね。

 

女の子が鼻歌をやめることができない気持ちもわかるし、彼女の鼻歌に被害をこうむっている人たちの気持ちもわかります。

 

そういう環境なので、女の子はしだいに登校拒否になっていきます。

学校に行こうとすると体が動かない。

 

でも母はけっして彼女のことを叱ったりはしませんでした。

しかし、まわりの人たちは母が甘いといいます。

 

でも、果たして母は甘いのでしょうか。

不登校になるまで追い詰められた子どもは何を望んでいるのでしょうか。

大人から叱咤激励されて、はげまされると本当に思いますか?

 

こういうときは子どものことをただひたすら好きであることを伝えきるということが大切。

誰が何と言おうと、親である自分たちはあなたのことを認めているということを側にいて伝えるのです。

 

上から押し付けるのではなく、対等な人間として一緒にゆっくりひとつひとつ寄り添いながら解決してあげることで、だんだんと一人でやれるようになるということが伝わってきました。

 

子どもではなく、親として一皮むけるということで「卒業」であるということですね。

 

「追伸」

主人公の母親は幼少期に病気で亡くなってしまいます。

その後、父親が別の女性を妻として迎えましたが、主人公は猛烈に反発をします。

 

主人公にとって母は病気で亡くなった母だけで、継母はけっして母ではないのでした。

これは主人公が大人になっても同じことで、主人公の頭の中は亡くなった母だけ。

 

主人公の気持ちはとてもわかるのですが、大人になっても継母を母として認めることができず、反発をし続けるのはすごいエネルギーだなぁと思いましたね。

 

やはり本作内でも表現されていますが、継母も「母」と認識してくれなかったことには非常に悩まされていました。

 

継母も一人の人間なので、いきなり全く知らない子の母になるということは、最初は実感がないものです。

それゆえに子どもにはとても冷たくみえてしまうし、そういう状況だと頭の中にいる亡くなった優しい母に想いをよせてしまうのです。

 

何度も何度も衝突するし、お互いのことをヒドイ言葉で罵ってしまうこともありましたが、最終的には和解します。

 

継母を一人の母として認めるという意味で「卒業」であるということなのでしょう。

 

重松清さんの作風は1冊だけではわかりませんが、他の作品も積読をしているので読むのが楽しみです。